MK労働組合 は労働者の生活と権利を守り、経済的・社会的地位の向上ならびに共同福祉の増進をはかることを目的に結成された組織です

最高裁 MK労組出資金返還等請求控訴、同附帯控訴事件 裁判上告棄却・上告不受理の不当決定

最高裁 MK労組出資金返還等請求控訴、同附帯控訴事件 裁判上告棄却・上告不受理の不当決定

最高裁 MK労組出資金返還等請求控訴、同附帯控訴事件 裁判上告棄却・上告不受理の不当決定

声明

第1 はじめに

   MK労働組合がMKグループ労働組合連合会(以下「労連」という)に対し、労連からの脱退に伴い、労連に差し入れた預入金(以下「本件預入金」という)の返還を求めた裁判(以下「本件訴訟」という)において、2013年6月8日、最高裁判所第一小法廷(裁判官 櫻井龍子 金築誠志 横田尤孝 白木勇 山村善樹)は、MK労働組合の上告を棄却し、上告審として受理しない旨の決定を行った。
本件訴訟に関しては、本件預入金の性質及び労働組合が連合団体から脱退した場合にも本件預入金に関する附帯条件(以下「本件条件」という)が適用されるかという法令の解釈適用に関する事項が争点となっており、京都地方裁判所と大阪高等裁判所で判断が分かれていた。
MK労働組合は、大阪高等裁判所の不当判決を受け、最高裁判所において、司法的な見解が分かれる事項につき適正な判断がなされると信じ、上告及び上告受理の申立てを行っていたものであるが、最高裁判所は、当該事項につき何ら判断を示すことなく、MK労働組合の上告を棄却等する決定を行ったものであり、MK労働組合としては、到底許し難い不当な決定であると考えている。

   以下において、本件訴訟に関するMK労働組合の見解を述べる。

第2 京都地方裁判所の判決の正当性

1 京都地方裁判所は、①預入期間が15年と相当長期になっていること、②預入期間が経過しても返金せず、会費と相殺するという約定や争議行為に関する約定はMK労働組合が労連の加盟組合であることを前提にしていると認められること、③労連が設立時点において旧MK労組の資産を引き継ぐことを予定しており、これを労連会館の購入を通じて実現するため、旧MK労組の資産を関係単位組合等による預入金として受け入れたこと等の事情を考慮し、本件条件は、それ自体の内容や、実質的には単位組合であるMK労働組合の資産を連合団体である労連への組入れの効果を得られるように定められたものといえることから、MK労働組合と労連との間に、単位組合と連合団体という関係が継続していることを前提とするもので、このような関係が存在しない場合、その効力は及ばないとして、MK労働組合による本件預入金の返還請求を認容した。
京都地方裁判所の上記判断は、本件預入金の性質、本件条件が定められた経緯及び内容等を正しく理解したものであり、正当な判断といえる。

2 本件訴訟において、労連は、MK労働組合が労連事務所を出た後も、電話機、コピー機及び輪転機のリース料の支払義務を負うという主張を行っており、これらのリース料と出資金との相殺が認められるかも争点となっていた。
労連はMK労働組合に対し、事務所退去後もリース料の請求を続けていたことの根拠として、MK労働組合に送付したという「請求書」を証拠として提出していたが、京都地方裁判所は、これらの請求書については、「原告(MK労働組合)に送付されたものであるかについて疑義がある」として、労連による証拠偽造の可能性を認定した。
この点においても、京都地方裁判所の判断は至極正当なものである。

第3 大阪高等裁判所の判決の不当性

1 これに対し、大阪高等裁判所は、本件預入金の性質、本件条件が定められた経緯等を全く考慮することなく、本件条件を形式的にあてはめ、MK労働組合と労連との間に、単位組合と連合団体という関係が消滅した場合にも、MK労働組合は15年という長期間、労連への預入れを継続すべきという判断を行った。

   ちなみに労連は、控訴理由書において、MK労働組合が脱退した経緯について事実に反する一方的な主張を行っていたが、大阪高等裁判所はかかる主張について何も判断を示さなかった。
なぜならば、労連の主張は、何ら合理的な根拠に基づかない不当なものであり、考慮にも値しないものであったからである。

2 本件預入金に関しては、旧MK労組の資産を労連が引き継ぐ形で預け入れられたもので、預入当時、実質的に各単位組合において預け入れるか、預け入れないかの選択権はなかった。しかも本件預入金については年利が発生せず、預入れを継続するについてMK労働組合に何のメリットもない。にもかかわらず、MK労働組合と労連との間に、単位組合と連合団体という関係が消滅した後においても、15年もの長期間、預入れを強要する大阪高等裁判所は、労連の利益を一方的に擁護するものであり、その不当性は明らかである。

3 なお、労連による出資金とリース料との相殺の主張に関しては、大阪高等裁判所は京都裁判所の判断を支持し、労連によるリース料の請求が不当なものであるという認定を行っている。

   労連は、MK労働組合と労連との間に事務所退去後のリース料が発生しないという合意が存したことを示す書類について、「担当した会計総括担当事務員が不慣れで、過誤により作成・送付した」という浅はかな責任逃れの主張を行っていたが、大阪高等裁判所はかかる主張を退けた。この限度においては、正当な判断といえる。

第4 MK労働組合の見解

1 本件預入金の原資は、旧MK労働組合から各組織に分配された資産であり、各単位組合に帰属する固有の資産である。MK労働組合が労連に預入れを行ったのは、その当時、MK労働組合と労連との間に、加盟組合と連合団体という立場での協力関係があったからであり、このような協力関係が失われた以上、労連への預入れを継続する理由はなく、本来的にはMK労働組合の財産として活用されるべきものである。

2 しかも、MK労働組合は、労連による旧MK労働組合名義の銀行口座の不正利用疑惑、UAゼンセンからの見舞金の不正受給疑惑、旧MK労組の銀行印等をMK労働組合に引き継がないことによる組合活動の妨害、MK労働組合の役員人事への不当な介入等により、労連との信頼関係を維持していくことが困難となり、脱退を余儀なくされたものである。かかる状況下、労連への預入れを継続する理由はない。

3 最高裁判所において、本件預入金の性質、本件条件が定められた経緯及び内容のみならず、MK労働組合が労連からの脱退を余儀なくされた経緯も考慮した上で、MK労働組合の団結権を最大限尊重した適正な判断がなされることを信じ、上告及び上告受理申立てを行ったものであるが、最高裁判所は、これらすべてに目をつぶり、上告を棄却等したものであり、憲法及び法律に従って、大組織の横暴から弱者の権利を救済するという司法の使命を放棄する不当な判断といわざるを得ない。

4 私たちは本件訴訟において、労働組合の団結権を否定する司法判断がなされたことを歴史に残る反動的な決定であると理解しており、このような司法判断を決して許すつもりはない。

第5 組織存続のために全力をあげる

   裁判に対する大きなご支援を上部団体・関係諸氏よりいただいたことで、MK労働組合のネットワークは大きく広まった。そして何よりも無秩序な勢力による、UAゼンセン・MK労組への組織破壊を許さず、むしろ団結を打ち固めてきた。 今後もMK労働組合はあらゆる仲間と連帯し闘いを推し進めていく。私たちは、この不当決定に屈することなく、勝利のために組織存続に引き続き全力をあげる。

   棄却決定を利用し、MK労組の活動と組織を壊そうとする輩を全組合員の団結で跳ね返そう。

   組合員の皆さん、そして3年余の闘いに支援・連帯していただいたすべての仲間の皆さんに心から感謝を申し上げると共に、私たちは職場から労働組合らしく、平和・人権民主主義を守り社会正義のため 、断固闘い抜くことを明らかにし、声明とする。

2013年7月14日
出資金返還等請求事件弁護団
UAゼンセン MK労働組合


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