MK労働組合は労働者の生活と権利を守り、経済的・社会的地位の向上ならびに共同福祉の増進をはかることを目的に結成された組織です

全国のタクシーの現状

全国のタクシーの現状

タクシーの現状
法人事業者は14319社、法人車両数209566両で、個人タクシー41900両を含め、総車両数は251466両。(国土交通省調べ・平成23年3月末現在)
事業者のほとんどが中小企業で、保有車両数30両以下の事業者が83.5%、資本金5000万円を超える事業者はわずか2.1%。(平成22年3月末現在) 輸送人員は、公共交通機関(タクシー、鉄道、バス)の6.4%を占める約19億4800万人、営業収入は1兆7760億円。(平成21年度実績)  タクシーの関係従業員は412962人で、その内、371245人が運転者。(平成22年3月末現在) タクシーは利用者のニーズに応じるため、拘束時間が長く厳しい労働環境の下にあり、安全運転、過労防止のために労働時間等が細かく規制されている。このため適正な労働時間管理により時短を図る等、勤務条件の改善に努力している。人件費が原価の72.8%を占めており、これに次ぐのが石油情勢の影響を受けやすい自動車の燃料費で、全タクシー車両数のうち約9割(全国LPガス協会)がLPガス燃料車。(平成22年度実績)

需給調整規制撤廃の失敗
平成14(2002)年の道路運送法改正で参入規制緩和・需給調整規制が撤廃されるまで、タクシーの供給量は全体的に縮小傾向にあったが、車両数は平成13(2001)年度を境に事業者数および従業員数は、平成14年度以降、いずれも増加した。平成12(2000)年度から平成16(2004)年度までの5年間の増加率は、事業者数約3.5%、従業員数約5.3%(運転手数約6.3%)、車両台数約5.6%であった。規制緩和に伴う相次ぐ新規参入と既存事業者を含めての増車があったことが原因といえよう。
現在、タクシー運賃は多様化されており、わたしたちが所属するMKにもみられるよう、事業者によって運賃設定がかなり異なる。大阪の場合タクシーの運賃値下げ競争が激しいが、全国的に見れば、タクシー運賃は平成11(1999)年度以降、やや下落したにとどまっている。輸送人員数は改正道路運送法が施行された平成14年度に一時的に若干増加したものの、平成15(2003)年度には再び減少に転じている。営業収入および運転手1人あたり営業収入もまた減少し続けている。平成12年度から平成16年度の5年間で見ると、輸送人員数は約7.8%、営業収入は約6.8%減少。運転手1人あたり営業収入に至っては約12.3%も減少していた。


国土交通省作成<表1>:輸送者数のピークは1970年の40億人

表1

平成21(2009)年6月19日の参議院本会議で「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」(タクシー事業の適正化・活性化特別措置法)が可決・成立され、タクシーは地域公共交通と明記された。
タクシー事業を巡っては、平成5年から需給調整規制やゾーン制採用や9000円超え分1割引、定額前払いなどの運賃の弾力的緩和が実施された。さらに50年ぶりの道路運送法改正による平成14年2月1日実施の需給調整規制撤廃で、前述のようにタクシー車両数が増加する一方、さらなるモータリゼーションの普及・発展、都市部では地下鉄や乗合バスなど他の公共交通機関の発達などに加え、長期的に需要低迷が続いたことでタクシーは供給過剰状況に陥り、過度な運賃競争が顕著になった。
平成20(2008)年の米国発のリーマンショックに端を発する世界恐慌がこれに追い打ちをかけることになる。リーマンショック以前は、規制緩和後に増えたタクシーを減車することで労働条件等の改善は可能と考えられていたが、それだけでは需要の急激な減少に対応しきれなくなってきた。そうした複合的原因が絡み合い、タクシーの経営や労働条件の悪化等の問題が発生し、タクシーが公共交通としての役割を果たせない地域が発生した。これら問題の解決のため、全タク連や全個協、労働団体のナショナルセンターからも委員が出席する政府の交通政策審議会ワーキンググループが設置された。約1年に及ぶ論議を踏まえ、平成20年12月18日に取りまとめられた交通政策審議会答申「タクシー事業を巡る諸問題への対策について」では、「今後講ずべき対策」として、①「利用者のニーズに合致したサービスの提供」、②「悪質事業者等への対策」、③「運賃制度のあり方」、④「供給過剰進行地域における対策」が示された。
これを受けて、政府提出法案が平成21年2月10日に内閣から提出された。政府提出案は、供給過剰進行地域において、タクシー事業の適正化及び活性化を推進しようというものであり、①国土交通大臣による供給過剰進行地域の特定地域への指定及びタクシー事業の適正化及び活性化を推進するための基本方針の策定、②特定地域における地方運輸局長、関係地方公共団体の長、タクシー事業者及びその団体、タクシー運転者の団体、地域住民等により組織される協議会による地域計画の作成、③同計画に基づくタクシー事業者 による特定事業及び減車などの事業再構築の実施、④特定地域における増車の認可制導入等に係る道路運送法の特例について定めること等を主な内容とした。

再規制への道
タクシー事業の適正化・活性化特別措置法が平成21年10月1日に施行され、丸3年余りが経過した。施行後には東京特別区武三交通圏、大阪市域交通圏において約2割の減休車が実施されたのをはじめ全国156地域で地域協議会が設置・開催され、全国の事業者が特定事業計画に取り組んだ結果、全国合計では約2 5000両、基準車両数比で約12%の減体車が実現した。一方で、その取り組みには地域間格差があり、同じ特定地域においても事業者ごとに取り組みの濃淡があり、タクシー事業の適正化・活性化特別措置法が掲げた立法目的ともいうべき運転者の労働条件改善が十分に果たされてはいない。
そのことは、タクシー事業の適正化・活性化特別措置法で指定された特定地域で作成された地域計画の到達はまだまだ不十分として、特定地域指定期間が終了した平成24年10月1日、全国142地域が3年間の再指定を受けたということにも表れている。
こうした中、全タク連や労働団体の度重なる要請を受け、民主党タクシー政策議員連盟が、タクシー事業の適正化・活性化特別措置法の不十分な点を補うためタクシー事業法案を作成し、これへの対案として自民党ハイヤー・タクシー推進議員連盟がタクシー事業の適正化・活性化特措法とタクシー業務の適正化特別措置法の一部改正案を出してきた。どちらも議員立法により成立させようというものだが、これまでの政局もあり、上程すらされていない。平成24年12月16日の衆院総選挙で自民が大勝し、政治の揺れ戻しが起きた。今後のタクシー新法の行方は、より自民党色の濃いものになると予想される。

総務省作成<表2>

表2

一方、わたしたちが所属するMKは、このような状況をどうみているのか。『MK新聞』平成24年10月1日付号トップで特定地域の指定とこの間の減車効果について、「日車営収の改善に一定の効果(4%増)があったことは確かだろう。しかしながら、より過去の売上と比べれば依然として低い水準であることには変わりない。むしろこのグラフで注目すべきは『利用者のタクシー離れ』に歯止めがかからないことだ。 輸送人員は日車営収の回復とは裏腹に減少を続け、このままでは年間15億人を切ることも否定できない。これは、タクシー特措法の名称である『タクシー適正化・活性化特別措置法』の『適正化』部分のみを追求し、『活性化』部分については見向きもしてこなかった運輸行政の結果だ。むしろ監査をちらつかせて減車を押し付け、減車した事業者には監査を行わず、運賃値上げを各地で行い、利用者に選ばれて走行距離が伸びるタクシーを営業させないように最高乗務距離規制を導入するなど、利用者の利便性を低下させる一方であったのではないか。 平成20年のリーマンショック以前から車輌減少の傾向があり、タクシー経営者の中にはリーマンショックが決定打となってタクシー事業からの撤退や規模縮小をいち早く判断した人がいる証だ。特措法など作らずとも、運輸行政は経営者の撤退の判断をほんの少し後押しすればよかっただけだ。国土交通省が行ったことはタクシーを守ることではなく、タクシー『事業者』を守ることに過ぎなかった。このまま利用者がどんどん減少していけば、またそれにあわせて強制的な減車や運賃値上げを行って延命させるのではないか。鉄道やバスや自家用車に比べて『高くてサービスの質が低い』乗り物であれば、利用者が使おうと思わない、また本当に必要とする人が使いたくても使えない交通機関への道をただ進んでいくだけだ。
タクシーを守るとは、利用者が安心して使うタクシーをつくり、育てることだ。利用者数が減少するだけでなく、全国的に見てドライバーへのなり手が減少し、若い働き手がおらず年々平均年齢が上がっているという事実もある。東京ではタクシーセンターでの登録運転者数が平成21年をピークに減少し、現在は平成19年水準の8万3千人に、大阪では運転者証発行数が平成15年の2万9千件をピークに、現在は2万5千人にまで減少している。会社だけが生き残り、利用者も、そこで働く者もいなくなってしまう、そのようなタクシーの未来を作ってはならない。『適正化』政策を推し進めることで利用者をないがしろにしてきたことに早く気付き、利用者に選ばれるタクシーをつくる環境を取り戻すことが先決であることを、他でもない国土交通省作成<表1>のグラフが物語っている」

これまで、タクシー業界ではあまり表立った論議にはならなかったが、日本が少子高齢化社会をたどる中、運転者の平均年齢も東京で58歳、大阪で60歳と、年々1歳ずつ年を加えており、これへの対策も喫緊の課題となってきた。この問題を放置していれば、日本のタクシー産業がさらに衰退してしまう。平成24年12月に開かれた大阪の地域協議会幹事会では運転者の高齢化対策を話し合い、適性診断や健康診断など高齢化対策がキチンと実施できている事業者には「安全・安心」のステッカーをちょう付するなどの工夫を施すことになった。利用者はそのタクシーを目指すようになると考えられている。

以上

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